【JCAお悩み相談室vol.2】 「うちの子を出せ」というクレームにどう対処したらいい?

◎今週のお悩み

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公立中学のバスケットボール部でコーチをしています。今年はミニバスケットボールチームから有力な選手が多数入学して、レギュラー5人中3人が1年生でした。夏の大会を前に3年生の親が5人ほどで学校に来て、「もっと3年生を試合に出さないなら、3年生は全員辞めます」とクレームを言ってきました。1年生の能力が高いことを説明した上で、善処しますと伝えて何とか帰ってもらいました。結局夏の大会は、スタメンだけ3年生にしたり、試合が決まった後に3年生を出場させたりしました。しかし、競った試合ではずっと1年生を使わざるをえません。

部活で実力のある選手が試合に出るのは当然で、昔ならこんなクレームは考えられませんでした。「うちの子を試合に出せ」といってくる親に対してどのように接するべきか、コミュニケーション全般についてアドバイスをいただきたいです。

神奈川県 バスケットボール部コーチ(40代・男性)

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◎森清之 東京大学アメリカンフットボール部ヘッドコーチの回答

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私も昭和の人間ですので、お悩みの状況は非常によく理解できます。良いか悪いかは別として、時代の変化に我々も対応していかなければなりませんね。

キーワードは「説明責任」だと思います。公立中学校のバスケットボール部ということですので、当然、その活動は教育の一環となります。したがって、学校の教育理念に基づいたチームの理念、コーチとしてのご自身の指導理念を明確にしなければなりません。そして、その理念を部員や学校関係者はもちろん、保護者に対しても(保護者会や活動報告のような形で)きちんと繰り返し説明をしていくことが必要だと思います。指導理念に正解はありませんし、あくまでも課外活動ですので、その理念に共感できなければ、参加しなければ良いだけの話です。

今回の問題は、ご相談者の方の指導理念とクレームを言ってきた保護者の求めていることが異なっているので起きたと思います。文面から推察するに「バスケットボールでの勝利を追求する過程で得られる生徒の人間的成長」を目的とされているコーチと「試合で活躍する我が子の姿を見ること」が目的の保護者のすれ違いでしょうか。対症療法的に対応するのではなく、保護者の方々に『指導理念』という本質的な部分を説明し、理解を得ることが第一かと思います。

体罰をはじめ様々な問題が取りざたされているだけに、保護者の立場に立つと子どもたちが日々どのような指導を受けているのかが気になるのは当然です。自らの指導理念をきちんと説明した上で、ぶれることなくそれを堂々と貫くことが、何よりも大切な生徒(選手)のためになるのではないかと思います。

森 清之(もり・きよゆき)のプロフィール

1964年生まれ。愛知県出身。京都大学を卒業後、同大コーチを経て、NFLヨーロッパのアムステルダム・アドミラルズ、Xリーグのアサヒビール・シルバースター、アサヒ飲料チャレンジャーズのコーチを歴任。2001年に鹿島ディアーズのヘッドコーチに就任し、2010年に日本選手権・ライスボウルを制覇。2011年、2015年の世界選手権では、2大会連続で日本代表のヘッドコーチを務めた。

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